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車を手放すタイミングで大切な「税金」の話と注意点

車を手放すことを考えてるんだけど、税金のこととか考えると、タイミングはいつがいいの?

車を手放すタイミングによっては増税の影響を受けるって聞いたことあるんだけど、どうすれば損をしないで済むの?

今、車を手放すタイミングについて検討中の方の中には、こんな風に「車を手放すタイミングと税金」について詳しく知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回は自動車業界の片隅で働く筆者が、車を手放すタイミングで最も大切な「税金」と注意点などについて説明していきたいと思います。

早速、見ていきましょう。

自動車税の支払いを避けるなら3月末までが売却のタイミング

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ご存知の通り、自動車を保有していると毎年、納税しなくてはならない「自動車税」(軽自動車は軽自動車税)

地方税法では、その税金の負担について下記の通り定めておりまして、毎年4月1日時点での自動車の保有者が支払うことになっています。

地方税法/第百四十八条/第百四十九条
自動車税の賦課期日は、四月一日とする。

自動車税の納期は、五月中において、当該道府県の条例で定める。但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる。

肝心の税金額ですが、自動車税は排気量に応じた金額を支払う必要がありまして、排気量の大きな車ほど税負担は重くなっています。

※新車のエコカーなどでは免税や減税措置がありますが、中古車には免税や減税措置はありません。

自動車税(普通)乗用車(エコカー減税適用前/年間)
総排気量1リットル以下29,500円
総排気量1リットル超1.5リットル以下34,500円
総排気量1.5リットル超2リットル以下39,500円
総排気量2リットル超2.5リットル以下45,000円
総排気量2.5リットル超3リットル以下51,000円
総排気量3リットル超3.5リットル以下58,000円
総排気量3.5リットル超4リットル以下66,500円
総排気量4リットル超4.5リットル以下76,500円
総排気量4.5リットル超6リットル以下88,000円
総排気量6リットル超111,000円
軽自動車の自動車税右以外13年経過
軽自動車 [四輪以上](自家用乗用)10,800円12,900円

以上のことから、もし手持ちの自動車を手放すのであれば、3月末までに所有権を他の誰かにしておく方がいいということになります。

では、3月を超えて例えば、4月以降にクルマを売却するとどうなるの?ということですが、買い取り業者がすでに支払った分の自動車税を還付してくれるというのが一般的です。

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ただ、筆者の率直な感触として、”還付の考え方”については買取業者によって異なる面もありますので、できれば3月末までに中古車は売却した方が、面倒が増えないので楽です。

自動車重量税と自動車税がダブル増税となる13年目の車検のタイミングに要注意

自動車にかかってくる税金には様々な種類がありますが、代表的なものとして毎年4月1日にかかってくる自動車税と車検の度にかかってくる「自動車重量税」という税金があります。

実は今、この自動車税と自動車重量税が13年目の車検を超えてくると、ダブルで増税という、ドライバーにとってはかなり過酷な状況になっています。(ディーゼル車は10年目)

なぜ、そんな”ヒドイ”ことをするの!という理由なのですが、それは国土交通省がエコカーの普及を強くすすめているからに他なりません。

下記は国土交通省が毎年、発表している自動車にかかる税制見直しをまとめたレポートからの抜粋ですが、「燃費性能がより優れた自動車の普及を継続的に促す構造を確立する」と明記されています。

自動車重量税に係るエコカー減税の見直しについては、燃費水準が年々向上して
いることを踏まえ、燃費性能がより優れた自動車の普及を継続的に促す構造を確立
する<中略>
参考/平成29年度税制改正の大綱 - 国土交通省

つまり、新車登録から13年以上経過したガソリン登録車に自動車税と自動車重量税のダブルで増税をかける一方で、電気自動車やハイブリッドカーへの移行をすすめるというのが、国土交通省の狙いになっているという状況です。

ちなみに、13年目以降にかかってくる税金とエコカーを新車で購入した場合の自動車税と自動車重量税を比較してみますと、その差は歴然です。

税金13年経過したガソリン登録車エコカー(新車購入)
自動車税
(総排気量2リットル以下)
45400円0円(初年度)
自動車重量税/3年
(~2,000kg以下)
40000円0円

ここまでの税制のことを考えますと、もし手放すことを検討中の車が13年目の車検を迎える間近であれば、すぐにでも売却を検討した方がいいのは確実です。

なお、車検の有効期間を確認するには、車検証を見れば一発で分かりますので、「あれ、有効期間いつまでだっけ・・」という方は、下記の写真を参考にしながら、確認していただければと思います。

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日本の自動車にかかる税金は高すぎる?!・・なんとアメリカの49倍!

ここまで車を手放すタイミングと税金の話をしてきましたが、もう少し踏み込んで自動車にかかる税金が国際的に見ても異常に高いということにも触れておきたいと思います。

実は下記のグラフは「自動車税制改革フォーラム」が公表しているグラフになりまして、日本の税金の高さは、なんとアメリカの49倍という信じられないような高さになっています。

※自動車税制改革フォーラムは日本自動車販売協会連合会や日本自動車連盟(JAF)など自動車業界に関連する21団体で結成されている団体

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参考/自動車税制改革フォーラム

アメリカ以外のイギリスやドイツ、フランスといった先進諸国と比べても2.4倍~16倍の税負担となっていまして、いかに日本の自動車にかかる税負担が重くなっているかが分かります。

上記は車体にかかる税金ですが、実際には、車を運転するには、ガソリンに含まれる揮発油税、有料道路の使用料、リサイクル料金などを負担することになりまして、新車で180万円の車を購入すると、平均使用年数の11年間の使用で、なんと購入価格を上回る約188万円相当の負担を強いられることになります。

その他にも、タイヤ代、車検代、駐車場代、オイル交換代などが掛かってきますので、現実的には、その負担金額はさらに重くなります。

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参考/自動車税制改革フォーラム

そうしたことを総合的に勘案すると、日本の自動車にかかる税金がいかに国際的に見ても常軌を逸した水準となっているかがお分かり頂けるかと思います。

”クルマ離れ”が叫ばれて久しい日本ですが、筆者はこの高すぎる税金にも大きな理由があるのではと考えています・・。

まとめと車を手放すタイミングに関する注意点

「車を手放すタイミングで大切な税金の話と注意点」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

最後に、もう一つだけ車を手放すタイミングに関する注意点をお伝えして、締めたいと思います。

それは、手放す車の見積り査定を1社だけに絞らないということです。

先ほど、自動車税の還付金のところで少し触れましたが、中古車買取業者によっては還付金があることを”盾に”少しでも安値で買い叩こうという業者がいたりしますので、1社だけに査定してもらうというのは、損をする確率が非常に高くなります。

でも、査定価格が期待できそうもないクルマなんだけど・・・

こんな風にあきらめる方も少なくありませんが、実は中古車の買取価格は車種、走行距離、年数、地域、景気、車の状態など様々なポイントで決まりまして、買取先により大きな価格差が出ることも珍しくないのです。

つまり、仮に古いクルマでも複数の業者に査定してもらうと、思ってもみない価格差が出たりするのです。

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上記のイメージは一例に過ぎませんが、車種によってはもっと大きな金額差が出ることも珍しくありません。

でも、どうやって複数の買取業者に依頼すればいいの?

確かに自分で車を運転して、複数の業者に買取査定をお願いするのって大変ですよね・・。(交渉とかも面倒くさいですよね・・)

そこで便利なのが、東証一部上場企業でセキュリティ対策にも実績がある「ナビクル車査定」やTVCMでもお馴染みの「カーセンサー」といった自動車買取の一括査定サービスです。

複数の買取業者に一括で査定依頼を出すことができますので、中古車をお得に売りたいというときには重宝するサービスになっています。

参考/「ナビクル車査定
参考/「カーセンサー

車を手放すタイミングや売り先を考えている人に本記事が少しでもお役に立てれば、幸いです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!

著者:伊澤仁志

自動車業界の片隅で働くエンジニア。これまでハードウェアやソフトウェアの開発だけでなく、ネットや実店舗での営業販売、マーケティングなどの仕事に関わってきました。現在はシステム設計をおこなう傍ら、ウェブメディアを中心に執筆を行っています。