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車検切れの自動車税は都道府県により対応が異なるという不思議な話

車検切れの自動車税は都道府県により対応が異なるという不思議な話

毎年4月1日の時点で車を保有している所有者または、使用者が負担することを義務付けられている自動車税(軽自動車の場合は、軽自動車税)

では、持っている車が車検切れになってしまうと、自動車税はどうなってしまうのでしょうか?

結論から言えば、その対応は都道府県によって異なるというのが現状です。

「都道府県によって異なる?そんなことがあるの?」

と感じる読者の方もいらっしゃるかと思いますが、現実として、そうなってしまっている・・・というのが現状です。

では、その理由などについて説明していきたいと思います。

自動車税は地方税

まず、「自動車税」というものを理解するにあたって知っておくべき大前提は、自動車税は地方税であるということになります。

税金の徴収方法から延滞金、納付期間など、地方税法で定められている大半の部分は各都道府県で一致しているのですが、細かい点については各都道府県の条例などの”裁量”に委ねられているという点も実は少なくありません。

その典型的な事例の一つが「車検が切れた車に対する自動車税の課税」です。

実際に例を見てみましょう。

神奈川県/県税Q&A ‐ 自動車税 ‐
Q車検が切れた自動車の納税通知書が届かないのですが、どうしてですか?
A前年の12月末までに車検が切れている車の場合、車検を更新しないまま年度を越えた自動車は、今年度の課税を一旦保留しているため、納税通知書は発送していません。

参考/神奈川県-自動車税Q&A-

京都府/府税Q&A ‐ 自動車税 ‐
Q車検の有効期限が切れた自動車をガレージに置いたまま使用していないのですが、税金はかかるのですか。
A自動車検査証の有効期限が切れて運行していなくても自動車税は課税されます。そのままにされますと、いつまでも課税され納税通知書が送付されることになります。使用されないのであれば、早急に運輸支局で抹消登録の手続きをしてください。

参考/京都府-自動車税Q&A-

青森県/県税Q&A ‐ 自動車税 ‐
Q車検切れで自動車を使用していないのですが、自動車税を納付しなければならないのですか。
A自動車税は毎年4月1日現在で運輸支局に自動車の所有者として登録されている人に課税されます。 
 したがって、3月31日までに「まっ消登録」されていない場合には、自動車税が課税されることになります。

参考/青森県-自動車税Q&A-

ご覧いただきました通り、神奈川県では、車検が切れると一旦、課税が保留されるのに対して、京都府や青森県では車検が切れても引き続き、課税が継続されるという対応になっています。

こうした対応の違いが生まれる背景には、「自動車税課税保留制度」という制度がありまして、そして、この制度をもとに各都道府県が車検切れ車両に対する課税継続の有無を決めているという状況になっています。

自動車税の課税タイミングと還付について

神奈川県のように車検切れの車両に対して、課税が保留される場合は別として、では車検切れで自動車税の納税通知書が届いた後の対応はどうすればいいのでしょうか?

まず、自動車税の納税通知書が届くのは毎年5月1日以降になりますので、通常であれば、それに気づくのは5月1日以降ということになるかと思います。

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自動車税は一括払いが原則ですので、一旦全額納めた後、抹消登録を経て、残りの分を還付してもらう・・・という”面倒くさい”手続きを踏む必要があります。

5月中に一時抹消登録を行うと、4月と5月分の自動車税を納め、還付のための手続きを申請すれば、6月から翌年3月までの計10ヶ月分の還付金を受け取ることができるという形になります。

また、一時抹消登録の方法とは別に、車を売却したりなどで車を手放すという方法もあります。

この場合は、一括で自動車税を納めると、その残りの還付金に相当する金額を自動車の買い取り業者が買い取り金額に”乗せて”買い取りしてくれますので、還付申請手続きをする必要はありません。

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なお、もし4月中に車検切れの車を中古車買い取り業者に売却した場合は、自動車税の税金分を丸々買い取り金額に含めて、買い取りしてくれますので、税金を支払う必要はありません。

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抹消登録と自動車税の課税保留について

先ほど、車検切れの車を抹消登録する場合、5月にやってくる自動車税の支払いを一括で行い、抹消登録が完了した時点で、それ以降の自動車税の還付を受ける(5月に抹消登録を行えば、6月から翌年3月分までの計10ヶ月分の自動車税が戻ってくる)という話をしましが、では、そもそもそれを支払わなかった場合は、どうなるのでしょうか?

実は、自動車税を支払わないまま、抹消登録を行うと、その時点で自動車税の納付義務が消滅するケースがあるのです。

これも先ほどの「自動車税課税保留制度」という制度が”弾力性”を持って運用されているためで、都道府県により、自動車税の納付義務の消滅の有無について、”はっきりしていない”というのが現状です。

wikipediaの自動車税の記載にも下記の通りあります。

wikipedia ‐ 自動車税 ‐
保留この制度は、法の趣旨(自動車税は本来的に財産税であり、自動車を所有していることそのものに担税力を見出しているものであって、車検有効期間中であるか否か、実際に運行に供されているか否かは課税要件となっていない)を逸脱し、「自動車税は自動車を使用している期間に対して課税される」という考え方の下、車検が切れた期間は「自動車は使用されていない」とみなして納税義務を保留とするものである。都道府県によって扱いが異なり、また課税担当者によっても扱いが異なることがあるのは、このためである。

参考/wikipedia-自動車税

上記を見ると、「車検切れの車両に対する自動車税の納付は払わない方が得なんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれませんが、ただ、気をつけなくてはいけないのは、それが”脱税”とみなされてしまった場合です。

地方税法では、自動車税の脱税に対して、次のように定めています。

自動車税の脱税に関する罪
第百六十条偽りその他不正の行為によつて自動車税の全部又は一部を免れた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

参考/地方税法

よほどのことがなければ、脱税とみなされることはないと思いますが、そういったリスクもあるということは把握しておく必要はあります。

また、脱税とまではいかなくとも、延滞していると判断されますと、下記のような高額の延滞金が待っているということになります・・・。

納期限後等に納付する自動車税の延滞金
第百六十三条 自動車税の納税者は、第百四十九条の納期限(納期限の延長があつた場合においては、その延長された納期限とする。以下自動車税について同様とする。)後にその税金を納付する場合においては、当該税額に、その納期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、年十四・六パーセント(当該納期限の翌日から一月を経過する日までの期間については、年七・三パーセント)の割合を乗じて計算した金額に相当する延滞金額を加算して納付しなければならない。

参考/地方税法

まとめ

「車検切れの自動車税は都道府県により対応が異なるという不思議な話」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

マイナンバー制度が開始された今、自動車税の未納に関する問題は、今後、税事務所などからの追及が厳しくなる可能性が十分考えられます。

問題が大きくなる前に税金を支払ったり、車を売却するなどして早め早めの対応を心掛けたいところですね。

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著者:伊澤仁志

自動車業界の片隅で働くエンジニア。これまでハードウェアやソフトウェアの開発だけでなく、ネットや実店舗での営業販売、マーケティングなどの仕事に関わってきました。現在はシステム設計をおこなう傍ら、ウェブメディアを中心に執筆を行っています。